泌尿器科
泌尿器とは、尿を作り出し、体外に排出するために働く器官をことです。
泌尿器に属する体内の器官は、尿を作り出す腎臓、膀胱に尿を運ぶ尿管、尿を一定量ためる膀胱、膀胱から尿を排出する尿道などに分けられます。また、泌尿器は尿が流れる通路という意味で“尿路”とも呼ばれます。
泌尿器がんの中では、前立腺がん、膀胱がんに次いで多い癌です。大きくなるとさまざまな症状がみられますが、5cm以下の癌では症状があることはまれです。最近では、無症状で、人間ドックや健診でおこなった超音波検査で偶然見つかる機会が増えています。しかし、癌が大きくなると、いわゆる腎細胞がんの古典的三大症状である血尿、疼痛、腹部腫瘤などの症状がみられます。
特有の症状はみられず、PSA異常値、排尿障害、頻尿などが契機になることもあり、前立腺肥大症と共存例もみられます。このときは排尿困難、頻尿、尿道出血(下部尿路症状)などがみられます。現在では採血でPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーによる早期発見が可能になり、前立腺生検をおこなうべきかどうか判断します。
【出展】がんセンター東病院より
前立腺肥大症
前立腺は男性の膀胱の出口にあるくるみ大の組織で、尿は膀胱から出た後、前立腺を通って出ます。前立腺が60歳代以降年齢とともに腫大し、尿が出にくい・頻尿になるといった症状をおこすことを総称して前立腺肥大症といいます。前立腺肥大症は前立腺の大きさも重要な要素ですが、大きい人が必ず出にくくなるわけではなく、膀胱機能など複数の要因が関与しています。
もともと前立腺は 前立腺液といって尿道から出る液や精液の一部分(PSAです)を作っています。 前立腺がんと共存することもあるので注意を要します。55歳以上の男性では すでに25%で尿線狭小を自覚しているとの報告もあります。
膀胱がん
痛みなどを伴わない、肉眼的血尿がある場合に、超音波や膀胱内視鏡で膀胱内側に発生した腫瘍として診断されます。喫煙と強い因果関係があり、受動喫煙も含めて、タバコに長期間暴露されていると発生リスクは高くなります。
尿路結石症
本来尿に溶けている成分が水分不足などで尿中に析出・結晶化したものが尿路結石です。尿管閉塞をおこすと強い背部痛、側腹部痛(脇腹の痛み)、下腹部痛、血尿あるいは頻尿症状をきたします。結石サイズが自力排出困難と考えられれば、積極的治療を行います。自排すれば、症状が霧消するという特徴があります。長期間放置すると腎臓に負担をかけて腎機能を低下させることもあります。
無症状の場合もありますが、激痛のためしばしば救急外来を受診することもあります。尿路結石症は稀な病気ではなく、我が国の男性では11人に 1人は一生のうちに一度は罹るといわれており、男女とも年々増加の傾向にあります。
発生頻度は10万人に2~3人で、1~2歳と20~40歳にピークがあります。また悪性リンパ腫の場合は中高年男性に生じることもあります。通常、痛みはなく精巣が腫れてくることで発見されます。
過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)は、症状によって定義される疾患です。すなわち、尿意切迫感が必須症状で、通常は頻尿(何回もトイレに行く)や夜間頻尿(就寝後何回もトイレに起きる)を伴っており、場合によっては切迫性尿失禁(急に強い尿意が起こってトイレまで間に合わずに尿がもれる)を伴う疾患です。つまり、尿意切迫感があれば、過活動膀胱の正確な診断のために受診しましょう。
膣からボール状のものが脱出してくる(下垂感)、会陰部が不快、尿や便が出にくいなど中高年女性の快適な暮らしを妨げる病気です。加齢や出産により、骨盤の底を支える筋肉や靱帯が緩むことが原因といわます。
骨盤にある臓器である子宮、膀胱、直腸などがだんだんと下がってきて、膣から体外に出てしまう病気をいいます。脱出する臓器により、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤、膣脱などに分かれます。このような状態を総称して性器脱と呼ぶこともあります。